2021年06月23日

「タブーの意識とオカルト」の記事紹介

ブログ『狂気をくぐり抜ける』の方で、「タブーの意識」と「オカルト」に関する3回の記事を投稿していますので、紹介しておきます。

「タブー」の意識とオカルト 1
「タブー」の意識とオカルト 2

「タブー」の意識とオカルト 3

「オカルト」には、嫌悪の感情とタブーの意識がつきまとうことは、こちらでも何度も述べていることですが、今回の記事は、「タブー」とは何かということに溯って、かなり根源的な考察をしているものです。

〇「タブー」には、もともと両義的な意味があったことと、現代にもはびこるタブーの意識。
〇近代は、「オカルト的なもの」を一般的に排除したが故に、「タブー」の本来の意味を失って、もっぱら「恐れにより避ける」という、否定的なタブーの意識の拡大をもたらしたこと。
〇「タブー」は、もっぱら守られるだけでなく、その「侵犯」によってこそ、停滞が破られ、「聖なるもの」に近づくことや、隠された「真実」に触れることができること。
〇「オカルト」に嫌悪の感情とタブーの意識がつきまとう、根源的な理由。
〇「生け贄」こそが、原初の「排除」として「タブー」を生んだという可能性。
〇近代という秩序を生むための、「オカルト的なもの」の排除こそ、まさに、それまで信仰していた「神々」の「生け贄」であり、強力なタブーを生んだこと。

などのことを明らかにしています。

いったんは葬り去られた、「オカルト的なもの」を捉え直すということは、このような意味での「タブーの侵犯」であり、大変なことには違いありません。ですが、現在の停滞状況の突破と、無意味なタブーのはびこりを押し止どめるためには、是非とも必要なものであるということです。


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2021年04月28日

科学とオカルトに関する2冊の復刊本

科学とオカルトに関わる重要な本で、品切れになっていた本が、最近文庫化されて復刊されているので、紹介しておきます。

1 村上陽一郎著 「科学史・科学哲学入門」 (講談社学術文庫)
( 旧『科学・哲学・信仰』(第三文明社レグルス文庫))

著者は、著名な科学史家で、科学史と、「近代科学」とは何かということを概略的に述べたものです。明解で分かりやすく説明されていると思います。

「近代科学」とは、普遍的なものではなく、「西洋近代」という文化的な文脈のもとに出て来た、一つの「ものの見方」であるということ。従って、それは、実質的に、「哲学」や「信仰」と異なるものではない、ということが趣意となります。

直接オカルトと関わるわけではないですが、「技術」と結びついた、「科学技術」というものは、「魔術」との関わりで生じているので、もともとの出自は、大きく関わるものがあります。

この辺りは、記事『「魔術」と「科学技術」 』でも述べたとおりです。

もう少し詳しく言うと、近代科学は、「聖俗革命」によって生まれたということが一つのポイントです。注意すべきは、「聖俗革命」とは、単純に、「聖なるもの」が「俗なるもの」に取って代わられたということではありません。自然と人間を峻別し、自然を超越する唯一の神を認める、キリスト教のような一神教的な背景のもとに、その「神」の位置が、「人間」に取って代わられたということです。

つまり、自然と人間を峻別する発想、自然を超越した唯一絶対の神が、唯一の法則のもとにすべてを統べている、というような西洋文明独自の発想は、「聖俗革命」の後も受け継がれ、それが近代科学の発想のもとになっているのです。

ただ、「神」の位置が、人間へと取って代わられ、人間が、神の万能の理性に発する「知」によって、その法則を捉えつつ、自然を知り、操作するのが、「科学」という営為だと考えられたのです。

この辺りも、先の記事で、要点は述べています。

「科学」は、一つの「ものの見方」ですが、このような一神教的な発想のため、他のものとは違って、唯一の正しいものと見做されやすいのです。それが、他の見方を排除するように作用しやすいし、「オカルト」的なものを否定する見方にも、それは反映されています

しかし、実質は、一つの「ものの見方」である以上、「哲学」や「信仰」といったものと、本質的に区別できるものではないということです。

ただし、もちろんですが、だからと言って、そんな「科学」は無意味だとか、役に立たないということには、なりません。

「科学」を、一つの「ものの見方」として、相対化して捉えたうえで、その有用性を認めて(その範囲を確定することは必要かもしれません)、役立てて行くことはできることです。


2 河合隼雄著 「宗教と科学の接点」 (岩波現代文庫)

そもそも、ユングは、目に見えない「オカルト」的なものを、「普遍的無意識」という形で、心理学に取り込んでいました。日本におけるユング派の心理学者であった、故河合隼雄氏も、科学によって、「オカルト」的なものを否定する一般的な見方に対して、科学との接点は意識しつつ、「オカルト」的なものにも目を向ける発言をよくしていました。

また、この本出版の当時は、「ニューエイジ」や、「ニューサイエンス」という、これまでの物質主義的な発想を超える、新たな発想が広がりつつありました。そのような背景もあり、この本では、正面から、かなり大胆に、そのような「宗教と科学の接点」に関わることを、論じています。

内容としては、「たましい」や「死」、「共時性」などがとり挙げられています。どれも、このブログとの関わりでも重要な事柄と言えますが、特に、「共時性」について、かなり詳しく分かりやすく解説しているのが、記事『「共時性(シンクロニシティ)」-概観と重要性』以降の記事との関わりで、重要です。

「たましい」については、必ずしも、「魂」という実体としてではなく、内界(心)と外界(自然、物質)の奥で、両者を結びつける働きとして、(明確には分からないながらも、そのままに)仮定しておくことを提案しています。

内界(心)と外界(自然、物質)が、意味において結びついて起こる「共時性」についても、そのような「たましい」による「布置」と、みることができます。記事でも述べましたが、注意すべきは、それは(通常、外界がそうであるように)単純に、原因と結果の関係で、つまり「因果律」で結びつくのではないということです。

これを、因果的に解釈してしまうと、「偽の因果律」となって、「魔術」的因果論になってしまうことが、例を挙げて示されています。たとえば、古来、彗星の出現と帝王と死が共時的に起こることが注目されましたが、これを、彗星が現れたから、帝王が死んだ。あるいは、さらに、彗星が現れると、帝王が死ぬという風に解釈すると、「偽の因果論」になるのです。

しかし、実際に、「共時性」現象に出会うと、我々は、どうしても習性で、因果的に解釈することで、落ち着けようとしますから、これは、本当に注意していなければならないことです。

さらに、これも記事でも述べていますが、「共時性」は、その現象をどう受け止めるかという、「主体的な関わり」こそが重要となることが強調されます。それを偶然ではなく、共時性と受け止めることによって、主体のコミットメントが生じ、自己を取り巻く「世界」との関わり方も、変わるのです。

さらに、「共時性」は、内界と外界の結びつきによって起こる現象ですから、主体(内界)がどう受け止めるかによって、現象の方も変わって来るということが言えます。

総じて言うと、我々は、「我々の心から切り離された(客観的な)外界」という発想をもって、通常外界をみていますが、それが、通用しなくなるのが、「共時性」現象とも言えます。「内界と外界の結びつき」に気づかせてくれる現象ということです。

また、このことは、先の1でみた、「人間と自然が峻別される」ことを前提とする、近代科学の発想が、実際には、普遍的なものではないことを露わにするものとも言えます。

このような発言を続けられていて、かなり影響力もあった、河合氏が亡くなったことは、日本にとって、大きな痛手となったことを、改めて感じます。科学とオカルトは、最近ますます分断され、やみくもに対立するのみで、両者の接点を問題にできる人が、ほとんどいなくなっていると思うからです。

posted by ティエム at 23:25| Comment(0) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年12月30日

次回以降の投稿についてのお知らせ

前回、次回は「輪廻転生」の問題を述べると言いましたが、この問題は、そう単純ではなく、「時間」の問題や、「輪廻の主体」をどうみるかという問題とも絡む、かなり難しい問題です。私自身、現時点の考えはありますが、明確にふに落ちる形で提示できるか心許ないので、もう少し、自分なりに煮詰めてから、投稿したいと思います。

場合により、数カ月あるいはもっとかかる可能性もあるので、ご了承ください。

このブログで扱う、「オカルトの基本」の問題としては、このほかに、あと、「パラレルワールド」の問題を予定しています。

ところが、この問題も、「時間」とともに、「量子力学の観測問題」や、「意識と現実」の問題とも絡む、難しい問題なので、やはり、しばらく時間をかけてじっくり取り組みたいと思います。

いずれ、この2つの問題は、「オカルトの基本」の問題として抜かせないものと思うし、最後にとり上げるにふさわしい問題とも思うので、自分なりにしっかりした形で、提示するつもりではいます。
posted by ティエム at 00:04| Comment(1) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする